本までの距離

私は活字を読むことが大好きで、本に限らず新聞でも教科書でもマンガでもサイトでも、読む。とにかく、読むことが好きなのだ。
でも中でもやっぱり本が好き。
好きな理由はたくさんあるのだけれど、そもそも好きになったのはなんでだっけ?と数年前に一度考えたことがある。

自分の中での結論は、「本=楽しい」との経験があるから、だった。
そう、初めは本の中身にワクワクしてたというよりも、本を読むという行為に付随するキラキラの体験が嬉しかったのだと思う。

 

アーケードの中の本屋さん

滋賀県にいる頃は、毎年夏に1ヶ月・冬に10日間ほど、熊本の祖父母宅で過ごしていた。
家族まるごと、父母の実家に帰省するのだ。
その時通っていたのが、上通り・下通りという熊本市のアーケード。
必ず長崎書店、金龍堂まるぶん店、紀伊国屋に連れて行ってもらった。
キディランドやマクドナルド(滋賀にもあったけど我が家では食べる習慣がなかったので、この時だけの特別料理だった。笑)、鶴屋、本屋さん、昔ながらの喫茶店、親戚のおばさんがやってる婦人服屋さん。
そんなお店を家族とまわる。
歩きすぎて疲れたり、兄とケンカしたり、はしゃぎすぎて知らないおじさんに怒られたり。
これが、私の葉月と師走の思い出。

公園の中の大きな図書館

以前、ブログに書いたが、15歳まで住んでいた滋賀県には、文化ゾーンと呼ばれる場所がある。
*文化ゾーン http://www.shiga-kinbi.jp/?page_id=117

 

近代美術館・県立図書館・庭園・こども広場などなどが集まった、ひろーい場所。
今はわからないが、当時は土日の人気スポットだった。
土日は家族で車に乗りバイパス使ってぶーんと向かい、図書館で1人1人が思い思いの時間を過ごして、本を借りて。その後は公園ゾーンで走り回って。
合間にお弁当を食べても良し、お茶しても良し、帰りに瀬田のヒカリヤなんかでご飯食べても良し。

家からはすごく遠かったけれど、よく友達にも会ったし、同じような過ごし方をした友達は多かったと思う。
もちろん友達と一緒に行ったこともある。
友達も一緒に図書館へ連れて行ってもらって、一緒に紙芝居に夢中になる。読みあいっこする。
アスレチックのようなところで、追いかけっこして、木に登ったり。
学級閉鎖中に友達とこっそり図書館に連れて行ってもらったら、学級閉鎖明けに一気に皆ダウンしたこともあった。やばかった。
滋賀全体がそうだったかと言われるともちろん違うけど、大津の小学生では同じ過ごし方をしていた友達はたくさんいた。

文化ゾーンはおもしろい場所なんだと信じていた。

 

そう、幼少の頃の私の本の思い出話には、必ずセットで、家族や友人と紡いだストーリーが出てくる。
“熊本”や“文化”という、自分の日常ど真ん中とはちょっと違う場所に、確実に居場所があったのだ。


函館蔦屋書店がスゴい!代官山を超え、これを目当てに函館に移住しても良いレベル!

函館蔦屋書店で見つけた、地方の文化を育む新たな“居場所

こちらのブログを見て、そんなことを思い出した。

 

一人でも多くのこどもたちが、
本のあるところは楽しい場所と思ってくれるとイイ。
そして、本を読んで夢を広げてくれたらイイ。逃げ場にしてもイイ。物語に引き込まれて自分がヒーローになった妄想をしてもイイ。

一人でも多くのおとなが、
本屋さんに行きたくなるとイイ。
そして、少しでも視野を広げられたらイイ。現実逃避してもイイ。自分の道を方向転換するために可能性を探ってもイイ。

一人でも多くの時間があるおじいちゃんおばあちゃんが、
本屋さんで過ごしたくなるとイイ。
そして、店員さんと触れ合えたらイイ。最新の雑誌なんか読んで孫より流行に詳しくなっちゃえばイイ。コーヒー飲んでアルコールは減らしちゃえばイイ。

本までの距離が、短くなりますように。

本を通じて、ステキな思い出がたくさんできますように。

 

まちが人をつくる。人がまちをつくる。
まちを、ひとを、民間がつくる。
おもしろい。

今度函館に見に行こう。