はたらく。

昨日、悲しいことがあった。

 

電車を待っている時、隣に30代くらいのお母さんと小学生くらいの男の子がいて、色々しゃべっていた。
どうやらパパは急な仕事で一緒に遊びに来れなかったらしい。

そして、男の子がママに質問した。


男の子「ねーねー、パパはさ、まいにちかいしゃではたらくでしょ。ママはさ、なにをしてる人?はたらく人?」
お母さん「………ママは何もしてないんだよ、パパに養ってもらってるの。…ごめんね……。」

 

あまりにも長い沈黙があったから、ママをチラ見してしまった私。
(ごめんなさい。)

とってもとっても悲しそうに、話していた。

男の子はよくわかってなかったのか「そうなのー?ぼくといっしょー?あ、ぼくはがっこうがあるから、よーちゃん(←だれかは不明)といっしょかなー?」って言っていた。

 

私はとてもとてもショックだった。

 

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はたら・く【働く】

1 仕事をする。労働する。特に、職業として、あるいは生計を維持するために、一定の職に就く。「朝から晩までよく―・く」「工場で―・く」「―・きながら資格を取る」

 

2 機能する。また、作用して結果が現れる。「薬が―・いて熱が下がる」「引力が―・く」「機械がうまく―・かない」
(以下略)

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確かに話を盗み聞きした限りでは、そのお母さんは専業主婦で、職にはついていないようだった。

「生計を維持するために、一定の職に就」いてはいないのだろう。
でも、専業主婦が働いていないわけではない。
家のことや、まちのこと、色々やっているじゃないか。

そのお母さんがあまりにも悲しそうにしていたので、何かあったのかなーと心配になった。
仕事を辞めざるをえなかったのかな。
お父さんに何か言われたのかな。
なんでそんなに悲しそうなのだろう。

 

私は今総合職でバリバリ働いているけれど、ずっと専業主婦になりたいと思ってた。
理由は、専業主婦の母がイキイキしていたから。
なんて素晴らしい仕事なんだと思っていた。

結婚・引っ越しを機に母は教師を辞めた。
が、「(自分のこどもに限らず)こどもの可能性を信じること」「人の居場所をつくること」「困っている人がいたら寄り添って一緒に解決をしようとすること」「自分が勉強を続けること」という、教師時代にやってきたことを、まちで、家庭で、続けていた。
外からお金は得ていないけれども、住みやすいまち・住みやすい家をつくるために、一生懸命はたらいてきた。

好きなことをしながらも家族を最優先できる環境を整えるために、タイムマネジメントを習得するなど、誰よりも貪欲である。

 

父と私は外からお金をもらってきて、そのお金で母は暮らしていけている。
母が生活の基盤をつくってくれるおかげで、父と私は仕事に集中できている。

 

はたらく。


今社会に出て、
私はお金を稼ぐ大変さを知っている。
私はお金の価値を知っている。

それでも、
お金を稼ぐだけが「はたらく」ことではない、
お金だけが価値ではない、
と断言できる。

 

いつかあのお母さんが、お子さんに、
「お母さんは、みーんなが暮らしやすい家とまちをつくるために、はたらいているんだよ」
って誇りを持って答えてくれたらいいな、と思う。